人事制度に関する当社の考え方

申し上げるまでもなく、人事制度は《円滑で活力に富む組織運営》の貴重な道具である一方で、それは道具に過ぎないものです。

そのため、人事制度を完備しなければならないという発想よりも、《様々な制度の中から自社に役立つものを選ぶ》という視点の方が効果的であるケースが多いのです。

私どもでは、御社のご実情を伺いながら様々な制度のご紹介を行い、必要に応じて適切な制度の導入を、経営者やご担当の皆様とご一緒に考えることを旨としています。

人事制度は面倒な理論ではなく、組織内に発生する様々な不満を事前に解消し、組織の士気を高めるために考え出された手法の集まりです。ご遠慮なくご相談ください。

なお、人事制度には、従業員の評価制度や賃金に関する取り決め、能力開発や人材教育、福利厚生や退職金制度等があり、更には採用や出向・転籍、異動等に関する規定等も、人事制度のテーマに入ります。

人事制度の検討事例

A社:《給与引き上げルール》提示が優秀な人材採用につながった

A社では優秀な人材を中途採用したかったのですが、なかなか給与条件が折り合いませんでした。しかも、あまり新規採用者の給与が高過ぎると、既存の従業員の士気が落ちるという懸念がありました。

そこで、新たに採用するする人に、採用当初の給与と、その後、《どんな成果を上げればどこまで給与を引き上げ得るか》という水準を提示することを提案しました。その基準は、まだ社内で制度化しておらず、その採用者にのみ示したものですが、その《給与引き上げルール》は、社内の役員会でも承認されています。

A社の社長は、今後は、中途採用者に限らず、広く制度を確立すべきだと考えていますが、『まずは《人事制度の発想》を部分的にでも導入したことが、良き採用につながりました。制度は使いようですね。』とおっしゃっています。

B社:従業員の視点から《高齢時の収入確保》を検討

B社では、退職金制度の不備が問題でした。しかし、今から退職金制度を作るというのは、原資の問題からも容易ではありません。また、退職年齢にもうすぐ達する従業員もおり、微妙な問題をはらんでいました。

しかし、その際、退職金制度だけを考えるのではなく、広く『従業員の生涯収入の道』を作ってはどうかという提案をしました。具体的には、高齢者の継続雇用制度の検討なのですが、それを《高齢時まで収入機会を確保する》という従業員の視点から考えてみたのです。
B社の社長は、『退職金制度が不備だから福利厚生に問題があると短絡的に考えないで、様々な《道》を探すところから始めることが重要だと思います』と話されていました。

C社:管理職の登用制度からキャリアパス構想へ

C社では、定年延長や継続雇用制度が法律で定められたのを契機に、若手の管理職登用と高齢に達した管理者の処遇見直し(役職定年制)を検討し始めました。しかし、年齢だけで機械的に管理職適任者を決めることには、社長も役員会も疑問を抱いていました。
そこで、どんな経験を積み、どんな能力を獲得すれば管理職になれるのか、そして、その能力をどんな風に維持すれば、その管理職を続けられるのかを《役員会でイメージ》してみる場を持ちました。

その際、ある役員から、どんな仕事を覚え、担当者としてどんなスキルを磨き、更にチームのリーダーや管理者となって、組織にどんな貢献をし、晩年はどのような働き甲斐をもって働くかという道筋(キャリアパス)を、分かりやすい形で経営陣が提示すべきだという意見が出ました。
そして、まずは何人かの従業員をサンプルとして、過去はどう働いていたか、今どんな貢献をしているか、将来はどう働いてほしいかを検討してみるところから、制度の根本を作ることを計画しています。

そして、経営陣がそうした姿勢を持つだけで、まだ結論が出ていなくても、組織内のムードが前向きになったと指摘されるのです。